DX(デジタルトランスフォーメーション)への道

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第3回「2025年の崖とは何か」

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平素よりお世話になっております。

 

東海デジタル化相談室の大塚です。

 

第2回の記事「なぜ今DXなのか」では、日本と海外のDX事情の比較、レガシーシステムについて、2025年の崖問題についてお伝えしました。

 

sl-tdc2021.hatenablog.com

 

2025年までにレガシーシステムを刷新することで、起こりうる損害を未然に防ぐこと。

 

また業務システムの改善から顧客満足度を高め、最終的に新たな価値を見出すところまでを見据えようというところをお伝えしましたね。

 

そして2025年の崖について軽く触れ、このまま進むとどうなるかもお伝えしました。

 

今回はこの問題についてより深く話を掘り進めて行きたいと思います。

 

2025年?まだ先だから後で考えようと5年前に考えていた画面の前の皆さん。

 

これを機にDXないしデジタル化についてしっかり考えてみてはいかがでしょうか?

 

 

 

 

2025年の崖とは何か


 

前回の記事でもお話をしましたが改めてご説明いたします。

 

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2025年の崖」とは、部門ごとのシステム構築や、過剰なカスタマイズで複雑化した既存のシステムを、企業が利用し続けることにより発生するリスクを示した言葉です。

 

古くからあるシステム、いわゆる「レガシーシステム」を使い続けていると何が起こるか。

 

2025年にはそのレガシーシステムを保守するために必要なプログラミング言語を主に使っていたエンジニアの殆どが定年を迎えます。

 

すなわち保守する人材がいなくなり、システム障害時に損失が発生してしまうのです。

 

また過剰なカスタマイズで複雑化した既存のシステムも同じようなことが言えます。

 

システムを構築した人材が現場にいないとしましょう。その場合もシステム障害時に保守を行う人材がいないので損失が発生します。

 

これらシステムは専門性が必要であり。いずれは中身を触る人材がいなくなり「ブラックボックス」してしまうのです。

 

 

 

ここまでは主に技術面での問題点を上げましたが、現場の人材面についても問題点がございます。

 

それは現場サイドの抵抗についてです。

 

業務改善を行い既存システムの問題を解決したとしても、改善後の業務について現場の理解を得られなければ結局意味がないということです。

 

・今までのシステムで管理が上手くいってたのになぜ変更するのか

・紙媒体からデジタル化したことで操作方法が分からない人が出てくる

・システムを変更する時間がない

 

などの抵抗があることは想像に容易いです。

 

以上の課題を克服できない場合はDX実現ができないのみならず、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性があります。

 

これこそが2025年の崖と呼ばれているものです。

 

 

 

 

問題を解決したらどうなるのか


 

2025年の崖について問題提起を行った政府ですが、これらの問題を乗り越えるための「DX実現シナリオ」というものを作成しています。

 

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これはレガシーシステムを必要不必要で仕分けをし、必要なものについては刷新しつつDXを実現できた場合のシナリオです。

 

これを実現できた場合はなんと、2030年には実質GDP130兆円超の押上げが現実のものになると考えられています。

 

やはりネックとなるのは「レガシーシステム」であり、これらの問題解決こそが今、あらゆるユーザ企業に求められているものだと考えています。

 

 

 

 

レガシーシステムが経済損失に繋がる理由


 

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※1

 

ここまでレガシーシステムが企業に与える不利益についてご説明しました。

 

「とは言ってもうちは古くから使っているシステムを保守できるから大丈夫だよね」

 

というお声が聞こえてきました。風に乗って。

 

そういうわけにはいきません。

 

例えば「その保守が非IT部門でも可能」であった場合どうでしょうか?

 

今はkintoneのようなローコードツールが世に出ています。

 

本来であれば技術部門の人材が行っていたところを管理部門の人材が行えた場合、技術部門でさらなる売り上げが期待できるのではないでしょうか?

 

同じように「簡単に継承できるシステム」であった場合も、継承のための時間的なコストや教育コストが省かれますね。

 

また古いシステムにどうしても付いてくるものが「悪用されるリスク」です。

 

例えばそのシステムの脆弱性によって機密情報が流出してしまったり、システム障害が起きてしまったら。

 

いうまでもありませんが企業にとって大きな損失になるでしょう。

 

また世界的に見てDX化が進んでいることを鑑みると既存システムでは市場の変化に対応できず、またデータを活用しきれないことからデジタル競争の敗者となり、それもまた損失に繋がることでしょう。

 

このようにレガシーシステムを放置することのリスクは非常に大きいのです。

 

 

 

 

ではどうすればいいのか


 

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まずは経営者自らがITシステムの現状問題点を把握することが必要です。

 

技術的負債の度合い、情報資産の現状、既存システム刷新のための体制ができているのか。またこれらを中立的な立場で観察してもらうことも大切です。

 

そしてDXを行った後の体制、実行にあたってのプロセスを策定し、刷新後のシステムやゴールイメージを全社的に共有。

 

IT部門の人材のみならず会社全体でDXを推進していく必要があります。

 

その過程でDXの専門家の力を借りて、システムの再構築をより良いものに、また刷新後のトラブルをすぐに解決できるような状態にすることも好ましいです。

 

最終的には社内にDX人材を確保できれば企業DX化は出来上がったも同然です。

 

 

 

 

おさらい


 

2025年の崖はもう目前まで迫っています。

 

レガシーシステムの刷新やDXで企業や組織の活動全体を見直さなければなりません。

 

また「DXを始めるにしてももう遅い」ということはありません。

 

今後起こりうる経済損失を未然に防げるよう共に行動していきましょう。

 

次回は「DXを行うにあたっての課題」についてお伝えします。ご期待ください。

 

 

 

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出典

※1 経済産業省